「実りと繁栄」「情熱」「真実の証」などの石言葉を持つ1月の誕生石「ガーネット」に込められた意味や願い、歴史について。
古代から現代まで愛され続ける宝石、ガーネット
深紅の輝きが美しいガーネットは、1月の誕生石として知られています。その歴史は古く、世界各地で様々な文化の中で大切にされてきました。
今回は、ガーネットの名前の由来・歴史の中での扱われ方や、人々がガーネットに込めてきた意味などをご紹介します。


ガーネットの名前の由来
ガーネットの名前は、ラテン語の「granatum」に由来します。これは「赤い種子」を意味し、ガーネットの結晶がザクロの種に似ていることから、この名前が付けられました。
和名も「柘榴石」と言います。
ガーネットの石言葉
「実りと繁栄」「情熱」「真実の証」
ガーネットの歴史
ガーネットの歴史は非常に古く、5000年以上前から宝石や研磨材として利用されてきたと言われています。
旧約聖書
旧約聖書のノアの箱舟の物語が有名ですね。
大洪水の中で、暗闇に包まれた箱舟の中でガーネットが光を放ち、希望の象徴となったとされています。
古代エジプト
古代エジプトでは、ガーネットはファラオや王女たちの宝飾品として重宝され、来世のための財産としてピラミッドに埋葬されていました。
古代ローマ
ローマ帝国では、ガーネットは魔除けの石として、また、戦士たちが身につける護符として利用されていました。
中世ヨーロッパ
十字軍の兵士たちが、負傷を避けるための石として甲冑にガーネットをはめ込んでいたと言われています。護符として『carbuncle』(カーバンクル)と呼ばれました。また、恋人への変わらぬ愛の証として贈られることもありました。
ヴィクトリア時代
ヴィクトリア時代には、ガーネットは喪のジュエリーとして用いられることもありましたが、同時に、その深い赤色が愛され、多くの女性たちがガーネットのアクセサリーを身につけていました。
ガーネットに込められた意味
ガーネットは、世界各地の文化の中で様々な意味を持つとされてきました。
- 実り: ザクロの実のように豊かに実る様子から、実りや豊穣の象徴とされています。
- 成功: 目標達成や成功への願いを込めて贈られることもありました。
- 忠実: 忠実な友情や愛情の象徴とされています。
- 魔除け: 魔除けの力があると信じられ、護符として身につける人もいました。
- 希望: ノアの箱舟の伝説では、暗闇の中で光を放ち、希望の象徴となりました。
- 保護: 古代ローマでは、戦士たちが身につける護符として利用され、危険から身を守ると考えられていました。
ガーネットの種類
ガーネットは、その成分によって様々な種類があります。代表的なものとしては、以下のものが挙げられます。
パイロープ
赤色のガーネット。最も一般的な種類です。
アルマンディン
ややピンクがかった赤色のガーネット。
スペサルタイト
オレンジ色のガーネット。橙色の物はマンダリンと呼ばれます。
デマントイド
緑色のガーネット。ダイヤモンドのような輝きを持ち、非常に高価です。
まとめ
ガーネットは、その美しい色と長い歴史、そして世界各地の文化の中で育まれた様々な意味を持つ、魅力的な宝石です。 この記事では、ガーネットの名前の由来がザクロ(granatum)ということ、旧約聖書の時代から古代エジプト・ローマ・ヴィクトリア朝における歴史の中での扱われ方、ガーネットに込められた「実り」「忠実」「希望」などの石言葉と、代表的なガーネットの種類をご紹介しました。
参考文献
飯田孝一『世界観設定のための宝石図鑑』(2022)