ダイヤモンド以外にもある4月の誕生石。モルガナイトと水晶のストーリー
4月の誕生石はダイヤモンド以外にも「モルガナイト」と「水晶(クォーツ)」があります。
本稿ではDOLOS LiTHOSで扱っているモルガナイトと水晶について、その豆知識や歴史・石言葉をご紹介します。




はじめに:4月の誕生石
4月の誕生石で有名な宝石には以下のようなものがあります。
- ダイヤモンド:従来から知られている公式の誕生石。
- モルガナイト:日本で2021年に新しく追加された誕生石。
- 水晶(クォーツ):国や地域によって誕生石に選ばれていることがあります。
以下では、新しく追加された「モルガナイト」と英国などで誕生石に選ばれている「水晶」についてご紹介します。

モルガナイト
モルガナイトは淡いピンク色をした宝石で、和名は「緑柱石(りょくちゅうせき)」です。
モルガナイトは、エメラルドやアクアマリンと同じベリルという鉱物の一種です。
特徴的なピンク色をしており、このピンク色は微量のマンガンを含むことで生まれています。
2021年の誕生石改定により、4月の誕生石に正式に追加されました。
天然の美しいピンク色を持つモルガナイトは比較的希少で、特に色の濃いものは価値が高いとされています。
主な産地は、マダガスカル、ブラジル、アフガニスタン、アメリカ(カリフォルニア州)など。
同じベリル系の宝石のアクアマリンやエメラルドが古くから有名な宝石であったことに対して、モルガナイトは比較的新しい宝石として市場に出回っています。
モルガナイトの発見と名前の由来
モルガナイトは1910年にカリフォルニア州の鉱物学者ジョージ・フレデリック・クンツ(George Frederick Kunz)によって発見されました。
マダガスカルで最初に見つかり、美しいピンク色のベリル鉱物として注目され、クンツは当時のアメリカの銀行家であり宝石コレクターでもあったJ.P.モルガンにちなみ、この新しい宝石を「モルガナイト」と命名しました。
J.P.モルガンは、スミソニアン博物館などに多くの貴重な宝石を寄贈したことで知られています。



水晶
和名はそのままで「水晶(すいしょう)」です。
水晶は日本では正式な4月の誕生石とはされていませんが、「ハーキマーダイヤモン
ド」と呼ばれる種類があったり、ダイヤモンドのように透明な石であるため、4月の誕生石と
して扱われることもあります。
イギリスでは、正式な4月の誕生石に認定されています。
水晶の石言葉
水晶の石言葉は「統合」「調和」「強化」。
水晶の名前の由来
水晶の名前は、ギリシャ語で「氷の化石」を意味する「κρύσταλλος(クリスタロス)」に由来します。
水晶の歴史と神秘的なエピソード
古代ギリシャ
万年雪に覆われた氷の中から現れた水晶を見た古代ギリシャ人は、これを「永久
に溶けない氷の化石」と考え、「κρύσταλλος(クリスタロス)」と名付けました。
古代エジプト
紀元前4500年頃の王朝成立以前から、石英粉を主体とする焼き物「ファイアン
ス」を使い、ネックレスのビーズなどが作られていました。
マヤ文明
透明な水晶を「ザストゥン」と呼び、まじない石として大切に扱っていました。また、水晶を加工して作られた人間の頭蓋骨を模した細工物(クリスタル・スカル)があり、その一部は大英博物館に展示されています。
日本
約7000年前(縄文時代)の釈迦堂遺跡から水晶の矢じりが発見され、水晶がすでに利用されていたことが分かっています。
約 1600年前(古墳時代)の銚子塚古墳 から水晶製の勾玉が出土し、装飾品として加工されていたことが確認されています。
江戸時代後半に本格的な水晶加工が始まりました。
明治時代以降は山梨県甲府を中心に伝統工芸として発展し、後に工学ガラスや珪石資源としても盛んに採掘されました。現在では、クォーツ時計などの工業製品にも使われています。


まとめ
4月の誕生石にはダイヤモンド以外にも「モルガナイト」や「水晶」があります。
比較的新しい宝石であるモルガナイトと、古くから人類と共にあり、氷のように透き通った輝きをした宝石 である水晶についてのストーリーや豆知識をご紹介しました。