7月の誕生石「カーネリアン」と獅子座の星座石「サンストーン」― 古代から人々に愛された太陽の色をまとう宝石 ―
温かみのある赤やオレンジの色彩が印象的な「カーネリアン」と「サンストーン」。
ともに夏の季節にふさわしい色合いを持ち、7月生まれや獅子座の象徴石として親しまれ
ています。
このふたつの宝石には、古代から人々の暮らしや信仰に深く関わってきた長い歴史があり
ます。
カーネリアン

古代文明に息づく赤橙の宝石赤褐色から鮮やかな橙色を持つカーネリアンは、古代メソポタミアやエジプト、ローマ帝国で広く用いられていました。
エジプトでは、カーネリアンは太陽や生命力の象徴とされ、王族の装飾品や副葬品に用いられています。
ツタンカーメン王の墓からもカーネリアンを使用した装飾品が発見されており、死後の再生や保護の願いが込められていたとされています。
古代ギリシャでは前7世紀ごろから好まれており、呪いよけとしてゴルゴンやメデューサが彫られたりしていました。
また、ローマ時代には、カーネリアンに細密な彫刻を施した「インタリオ(沈み彫り)」が流行し、印章指輪として使用されていました。柔らかい素材であるため彫刻に適しており、粘土や蝋に押し当てて印としても利用されました。
装飾性だけでなく、実用性も兼ね備えた石だったことがわかります。
サンストーン

太陽の輝きを宿した航海の石サンストーンは、長石の一種であるオリゴクレースやラブラドライトに分類され、内部に含まれる結晶によってきらめく光を放ちます。
その名の通り、太陽のような光彩を持つことから、古代より「太陽の石」として知られてきました。
特に北欧では、サンストーンが航海に用いられていたという説があります。
ヴァイキングたちが曇天や霧の中でも太陽の位置を知るためにこの石を使ったと伝えられています。
ただし現在サンストーンと呼ばれている石と同一であるかは不明で、一説にはカルサイトやアイオライトだったという研究がなされています。
でもキラキラと輝くサンストーンをヴァイキングが指針にしていたらと考えると素敵ですね。
中世ヨーロッパでは、サンストーンは宝飾品や宗教的な装飾としても愛用され、太陽にまつわる象徴性を持つ石として扱われました。
太陽を象徴する宝石だったカーネリアンとサンストーン
太陽に照らされてきたふたつの宝石カーネリアンとサンストーンは、いずれもその色と輝きから「太陽」を思わせる宝石として、古くから人々の生活に根付いてきました。
権力や信仰の象徴、あるいは実用品としての役割を果たしていたことは、現代においても興味深い側面です。
美しさだけでなく、歴史的背景や文化的な意味を知ることで、宝石とのつながりがより深く感じてみてください。
