パールネックレスが切れた!となる前に、または切れてしまった時のために、パールネックレス・ブレスレットの中糸交換のタイミングなどについて。
真珠のネックレス、いざ使うときに緩んでしまっていたり、着用中に切れて真珠をバラまいてしまったら大変!切れてしまったら修理に出すことにはなると思いますが、もし真珠を何粒か失くしてしまったら、足りない分を購入する必要があることに加えて、実はそのネックレスに合う真珠を探すことは結構大変なんです。切れてしまう前にメンテナンスしておくと安心ですので、真珠のネックレスやブレスレットに通っている中糸の交換時期の目安についてご案内させていただきます。
交換時期の目安
定期的に・・と言われてはいますが、2~3年経ったかどうかなどは忘れがち(私だけ?)ですし、パール製品の重さ(珠のサイズやネックレスの長さ)・使用頻度・保管方法・中糸の種類などいろいろなことが影響するので、交換時期はまちまちです。
そこで、以下では“だいたいこんな感じ”だったら交換時期なんだなぁ。という簡単な目安についてご案内いたします。
引っ張ったりしないでも真珠同士の間に隙間ができているとき
留め具(クラスプ)を外して、片側だけをつまんで持ち上げ、ネックレス(ブレスレット)をまっすぐ垂らしたときに、真珠と真珠の間に明らかな隙間ができる時は、糸替えが必要な時期です。(隙間は、サイズの大きな真珠だと元からやや広く、小さなものほど狭くはなりますが、おおよそで5mm以上が目安です。)
中糸が細く伸びていたり弱くなっていたりしていて切れやすいですし、真珠同士がぶつかってキズが出来やすくなっています。
明らかに汚れたとき
飲み物がかかった!など明らかに汚れてしまった時は、中糸の交換を強くお勧めします。汚れが真珠の中に移ってしまうと、真珠の劣化が早まったり、色が変わったりと不可逆的な変化を起こしてしまうかもしれません。真珠は内部が複雑でデリケートな構造で、中糸を伝って真珠の穴から汚れが入り、真珠層の間などに汚れが染み込んだりするなど、好ましくないことが起こる恐れがあります。
ほつれたり、擦れて毛羽立って来ていたり、金属が錆びたり割れたりしているとき
糸が毛羽立っているのは、劣化のサインです。ワイヤーの場合は、一部がほぐれていたり、クラスプ脇のワイヤーを固定しているパーツが劣化しているようなときは交換のサインです。
また、ネックレスが途中でカクっと曲がったりして元に戻らない場合などはワイヤーが折れているかもしれません。直ぐ切れることはないかも知れませんが弱くはなっていることと、見た目によろしくないと感じるかもしれませんので、交換のタイミングだと思います。
しばらく変えてないなぁ・・と久しぶりに思い出したとき
ジュエリー類は本当のところを申し上げますと、月2回くらいは手に取ってみて欲しいところなのですが、特にフォーマル用となるとなかなかタイミングが少ないかと思います。
夏場などパールをあまり使わない時期に思い出して、「前いつ使ったっけ?去年は使ってないかも?一昨年?」等というようなときは、一度糸交換に出してみるのも良いかと思います。何もしていなくても空気中のホコリや湿気などが原因で劣化が進んでいる場合もあります。
中糸替えはどこに依頼すればよい?
まずはご購入先やメーカー様にお問い合わせくださるのが良いかと思います。
販売店様やメーカー様でしたら、商品のデザインやコンセプト、中糸の種類や通し方について熟知していることでしょうし、安心ですね。
購入先やメーカー様に連絡が取れない場合は、信頼できる専門店や業者様にお問い合わせ下さい。
お値段の相場は?
各社様サービス内容が異なるため一概には申し上げられないのですが、感覚的に妥当がどうかの判断基準になればと、費用面について少し触れさせていただきます。
2024年8月の段階では、40cm程度のネックレスの中糸交換でしたら、私の周りで一般的な加工方法では1,000~3,500円程度(別途送料等かかる場合があります。)といったところです。
ただし、加工方法(オールクッション・オールナットなど)や、真珠の数・サイズ、ネックレスの長さによって大きく変わってきます。
一般的には、真珠のサイズが小さい・数が多い・ネックレスが長い程高くなり、クッションや結び目の数が増えるほど高くなり、こういった加工の場合はワイヤーより糸の方が高くなる傾向があります。
他、デザイン(2連・3連・両吊りなど)や状態(パーツが破損しているなど)によっても価格は変わってきますので、心配な時は先に見積もりを取ってみると良いでしょう。
まとめ
パールネックレスやブレスレットの中糸の交換時期の目安や、依頼先について基本的なことをご案内させていただきました。
パール同士の間に目立つ隙間が出てきたり、糸がほつれたり、汚れたり、あるいはしばらく交換していないと思った時などは、中糸の交換をご検討ください。
夏場などパールをあまり使わない時期に交換に出すと、使いたいときにベストの状態で使えるので良いかと思います。
また、中糸交換のご依頼先は購入先か製造メーカー様にご相談いただくとトラブルが少ないかと思います。
費用は、通常の作り方でしたらおよそ1,000円から3,500円程度(2024年8月時点)ですが、商品の状態によって異なるため先にお見積もりのご相談をすると安心です。
【※私どもの方では、基本的には当方でお買い上げの商品に限って中糸交換の対応をしております。】
意外な作り方がされていることもあり、解体して初めて分かるイレギュラーも隠れてるようなことが結構あるため、恐縮ではございますがお持ち込み品の修理は契約業者様に限っております。必ずしも元と同じに出来上がるとは限らない1ということをご了承の上で、どうしてもと言う場合はご相談ください。
おまけ:自分で交換するといくらかかる?
自前で中糸交換をする場合、最低限必要な物を揃えたらいくらかかるか?
私どもの例なので、市販よりはロットが大きいけれど単価は安い業者版ですが、2024年8月時点でのざっくりの概算でワイヤーで中糸を交換したときの金額の例をご紹介します。(他にも道具類は揃えていますが、最低限必要な物に絞ってみました。)
ニッパー:2,200円、ヤットコ:1,650円、ワイヤー:1,100円(1000cm)、カシメ玉:2,200円(500個)
初期費用で合計約7,150円!
7~8本(回)交換するなら、価格的にはお得ですね。
ワイヤーがネックレス200本分くらい、カシメ玉がネックレス250本分あるので、追加で190本分を超える部材も手元に残ります。
さすがに200本(回)扱うとなると、穴が詰まればドリルとモーター、バラけた真珠を並べるための台や布、指でつまむの大変だからピンセットやスコップ、汚れがひどいからあれ、クラスプが錆びてたらこれ、、と他の道具もあれやこれ必要になっては来ますが。。あと、ちゃんと出来るかどうかは何とも申し上げられません。。が、不意にネックレスがバラても良いという覚悟があれば、原価的には試す甲斐はあるかもしれないです。
(糸の場合は?2)
おまけ2:交換に出すのが心配。。。
「真珠ネックレスを交換に出したら、すり替えられるかも?」という心配の声を少し聞くことがあります。
具体的には、「こんなに小粒だったっけ?」「こんなに短かったっけ?」「こんなところにキズは無かったはず。」という様なトラブルの例があったりします。
心配な時は、預ける時にお品物の写真や、珠サイズなどの情報を加工先と共有することで安心感が高まると思います。長く商いを続けていくつもりのある業者様でしたら拒否することはなく、トラブルは避けるようにご対応をなさっているかと思います。
真珠のサイズが分かっていれば、サイズ×個数でおおよその長さが分かりますので、小粒にすり替えると長さか個数が合わなくなってしまいます。(余談ですが、必ずしも小粒だから安いというワケではないんです。)
他には、伸びるスピードはゆっくりなため長くなっていることには気づきにくく、中糸を変えることで急に短くなったと感じる部分もあるかもしれません。
また、キズなどの品質については写真を用いても共有しにくい部分があるかと思いますが、私としては傷の付いた真珠にすり替えることは、以下のことからほぼ有り得ないとは思っております。
連の中のキズの無い真珠をキズのある真珠とすり替えるためには、キズはあるけれど見た目がほぼ同じ真珠を用意することになり、キズのあるロットを用意して選別して入れ替えるという作業になるため、キズがあったとしても見た目が近しくて新しい真珠を中古と入れ替えると基本的に損失ですし、品質のばらつきが大きく供給も不安定である中古の真珠を選別できる量用意して入れ替えるのも損失が出る可能性が高いでしょう。なんでもよいから安い真珠に!と雑にすり替えると違和感が出る場合がほとんどで、キズより先にちぐはぐ感に気づかれると思います。また、中糸交換の場合は真珠の並び順も方向も変えずに行うことが一般的で、一部のみ入れ替えることは別作業のため、手間もぐんと増えてしまい、経済的な合理性は感じないです。
但し、違和感どころか丸っと全て違うものを戻された場合は取り違えの可能性がありますので、業者様にお問い合わせ下さい。
footer (memo)
- ワイヤーを接着していたり、両端を団子結びで終わらせていたり、穴を接着剤で充填して留めていたり、テグスを溶かし付けていたりその他アクロバティックな工法の商品が回ってきたことがありますが、これらを元の様に作ることは私どもとしてはやりたくないのです。。また、第三者が製品に手を加えることで販売店様やメーカー様との間でのサービス上の不利益が起こる場合もございますが、当方ではこれについても何もできません。例えば、私どもが修理したために「お得に下取りサービス」が使えなくなったとしても、当方でお得に下取ったりは出来ません。 ↩︎
- 糸は材料費はもっと安いですが、、何本か失敗したり、指が痛くなったり糸が絡まってイライラして結局できないという事もありますので、本稿の様にたまに1本だけ交換するようなシチュエーションではお勧めはしないです。 ↩︎
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