オリジナルジュエリーを作りたい!ルースをジュエリーに仕立てる流れ(の一例)のご紹介
●はじめに
宝石のルースがあると、そのまま鑑賞していたいとき・物も、ジュエリーにして鑑賞したい・着けたい物も、いろいろな欲求が湧くと思います。本稿では、一粒のベビーパールのルースをリングにするまでの流れを例としてご紹介します。取り上げている例は特別な一点物(1点手作りなど)ではなくて、量産・企画用の(キャスト)製品ですが、お手持ちのルースでジュエリーを作りたいときにオーダーした際の流れもこのようになることは多いので、参考になればと思い投稿しました。
出来上がりの形を探る:どんなものを作りたいか考える。
リングにしたい。ピアスにしたい。ペンダントにしたい。などから初め、華奢な物が良い、大振りな物が良いなどのサイズ感や、植物的な物か、建築物的な物か、直線・曲線・クロス・馬蹄・星・月●▲◇・・・などの形を考えます。
具体的な形が無くても、デザイナーさんに「何となく」でよいので希望の雰囲気を伝えてみるのも良いと思います。
例で取り上げているリングは、小ぶりで、品質に個性を感じる約3mmのベビーパールを使いたかったので、華奢目なサイズ感でオーガニックさを生かせる植物(花)をモチーフにしたデザインに決めました。
金属は何にするか考える:イエロー?ピンク?シルバー?プラチナ?
ルースの色や着用したときのイメージなどで金属を決めます。
色でいえばざっくり「イエローゴールド」「ピンクゴールド」「シルバー」「ホワイトゴールド・プラチナ」「ブラック(メッキ)」。
種類でいえば、メジャーなものは K18、K10、Pt900、Pt950、SV925 あたりです。
(予算などの兼ね合いで、デザインと同時進行で金属の種類を決めるパターンも有りだと思います。)
デザイン画を描く・描いてもらう:その1 三面図や3D
経験上デザイン画を作ることは結構重要な部分です。出来上がのイメージはもとより、工賃や使用する金属の重さ=予算にも影響してきます。
正面に当たるデザインの「顔」を決めた後は、側面なども分かるように三面図・または3ⅮCADの絵を作ってもらうことで出来上がったときに「え?何か違う・・。」となることが確実に少なくなります。
迷い線だらけの正面図だけで職人さんに加工を依頼して・何度もやり直しになった・イメージと違うものが出来た・高額になった、などのトラブルは意外とあったりします。
当方では、(タブレットやスマホで描ける2Ⅾの方が仕事が早いという事情もあり、)
- 先ずは2Dで絵を描き、
- 状況に応じて手で作るか、CADで作るかを決め、
- CAD製作の場合は3Ⅾレンダリングを確認し、
- 必要ならレンダリングを修正する。
と言う流れが多いです。
●2Ⅾのデザイン画(三面図)
先ずはこれをなるべく齟齬が起きないよう描きます。
(どこまで描き込む・塗り込むかはケースバイケースです。お互い完成品のイメージを共有している間柄なら、影や質感などは省いたり、最短距離を目指してモノクロ線画だけでやり取りしたりもあります。)
●3DCAD
今回はCADで原型を作ったので、レンダリングをチェック。
例のリングは、2Dではストレートだった腕を、重量を意識して3D上でグラデーションに直しました。
ここから先は職人さんに任せて(販売側のお仕事内容です。)
必要な場合はシルバー原型をチェックすることもありますが、今回は鋳造ごと外部に任せたため省きました。
キャスト(鋳造)してみる
たまに上手くいかないときがあります。良くないときは、鋳造の仕方を考え直してみたり、パーツを分けたりして見ます。
作ってみる
鋳造がうまくいけば、ほとんどここで完成です。ほぼ完成したような物ですが、事故が起こらないように気を付けてはいます。
微調整
もうちょっと綺麗に仕上げられそうな部分があれば手を入れます。
完成!
ルースがジュエリーになりました!
まとめ
パールのリングがデザインされ完成品になるまでの流れをご紹介しました。
今回の例は量産が最初から目的の製品ではありましたが、具体的なデザインをビジュアル化する⇒金属を加工して形にする、という流れはオーダーでのお仕立てのメジャーな流れのひとつです。流れが分かれば「何かオーダージュエリーを作ってみようかな?」とすこし思えて来ませんか?
着けてみたい!と思う宝石がありましたら、本稿の流れを思い出してみて、ジュエリー化へのモチベーションにつながりましたら大変うれしい次第です。
おまけ
例でご紹介したリングは製品化されております。ご購入も出来ますのでご検討いただけますと幸いです。