星雲を思わせる新色、暗紫色の淡水真珠
2025年の秋頃、卸屋さんに紹介してもらったのは、深くて暗い色合いを持つ紫色の淡水真珠です。光の傾きや目の位置、パールの向きが少し変わるだけで、色が変化して見えるほど強い干渉色を持っています。
「紫色の淡水真珠」自体は以前から存在していましたが、今回の新色は従来のものとは風合いが異なり、明度が低く、より深い色合いをしており、干渉色が際立って強いのが特徴です。ごく一部これに近いものもありましたが、あって1ロットに極一部だけ。今回のものは、1ロット全部が暗紫色&すごい虹色です。
左上のラウンドシェイプが従来のパープル系の淡水真珠。右下の菱形が今回の暗紫色の淡水真珠。
その干渉色は、グリーン、マゼンタ、シアン、オレンジなど、虹色のスペクトラムが色とりどりに強く浮かび上がります。著者は「オパールのプレイオブカラー(遊色効果)みたい。斑(ふ)のないバージョン。」と例えています。(厳密にはオパールは回折、パールは薄膜干渉で、虹色の出方はぜんぜん違うのですが、それはさておき、薄膜干渉のふわっとした色の出方のイメージを裏切って、回折くらいクッキリしてないか?という印象から、そう例えています。)
左が今回の真珠。光源の硬さや角度を変えて撮影しました。干渉色の見え方の参考までに。
干渉色が強いため、真珠本体の色は赤紫とも青紫とも言い難いのですが、身近な物に例えるなら「茄子」の色味が近いように感じます。(明るめの茄子色。ヘタの下に隠れている、白い部分との境い目あたり。)
暗い背景に虹色が浮かぶ様子を端的に言葉で表すと、「暗紫色に星雲が浮かぶような色合い」です。
その他の特徴として、光沢は(もちろん)真珠光沢、透明度は亜半透明(見かけは不透明ですが、ペンライトの光が僅かに透ける程度)です。形状はさまざまで、梅の花や、縦長の四芒星(キラキラマークの星の形)の角を丸くしたもの、菱形(ダイヤ菱)のものなどがありました。(余談ですが、このようなファンシーな形状のものは有核真珠であると考えられます。)
新しい物は慎重に。。「ナチュラルカラー」の証明: 破壊検査もしました。
この真珠について、パールメーカー側は「ナチュラルカラー(着色していない自然の色)」の新色だと説明していたそうです。しかし、パッと見た印象では硝酸銀で染めた黒系パールのような印象を受けたり、色付きの核を入れている可能性も思いつく見た目。何より(ロット丸ごとがこの風合いという)これまで見たことのない外観だったことも重なり、卸屋さんが日本の鑑別機関に提出して、徹底的に調べました。
検査にはまず通常はやらない破壊検査;真珠を砕いたり、焼いたりまでし、成分分析をし、と様々な検査を実施し、しかも2箇所の鑑別機関で分析結果を吟味。その結果、着色の痕跡は一切見つからず、現時点での第三者の検査では「ナチュラルカラー」との結論になりました。(ちなみに鑑別機関の人は、色の源について、母貝じゃない?水かなぁ?貝と場所?などなどいろいろ想像してました。)
鑑別書:ナチュラルカラー(無調色)
卸屋さんは真珠メーカーに対し、「ナチュラルじゃなかったら全部返品するからね」と伝えていたそうですが、この結果を受けて、無事に仕入れられることになりました。
新しい物は慎重に。。急な退色・変色・変質が心配。
私どもとしても、こういった特殊なパールを扱うのは初めてのこと。早速製品に……といきたいところなのですが、新しい物と聞くと少し慎重になるタイプで、「早く色褪せたりしないかな?」「色が変わったりしないかな?」といった点が気になり、独自のテストを試してみました。
- 無穴のまま
- 穴あけのみ
- 穴あけをしてパーツを接着(製品化)
という3つの状態に分け、12月上旬から9月下旬まで室内に放置。(※放置方法は「チャック付きポリ袋に入れる/入れない」「机の上にそのまま置く/箱にしまう」など様々ですが、いずれも日常生活の範囲内にとどめています。浴室や直射日光の当たる場所など、真珠が変質するであろう確率の高い過酷な環境では試していません。)
その結果、特に好ましくない変化は見られませんでした。
理論上は、真珠内部に外気が入らず、湿度変化や化学変化によるタンパク質の変質が起きにくい「1. 無穴のままチャック付き袋にしまっていた物」が一番変化しにくいと推測されます。しかし実際のところ放置後に、2.の穴あけしたものも、3.のパーツを付けて製品化したものも、個体差を超えるような違いは見られませんでした。
しばらく放置しました。ちぐはぐに変質している感じは内容に見えます。
光源の微妙な具合で見た目が全然変わってくるため、ビフォアの写真と比較しても、色がなぜ変わった(変わって見えるのか)は分かりにくいですが、少なくとも、無穴・穴あり・製品という状態の違いで変質の仕方が異なるようなことは無いようです。
また、仕入れ前に真珠総合研究所で撮影された鑑別書の写真と比較しても、8~9ヶ月ほどで肉眼でわかるほどの違いが出ることはないように思います。
鑑別書の真珠の写真の切り抜きです。
では、ジュエリーに!
この手の紫の宝石は意外と少なく、一般的な宝石だと、ごく一部の淡水パールか、アメシスト、サファイア、タンザナイト、ガーネット、フローライトくらいでしょうか・・?
干渉色を伴ったものは一部のパールくらいで、それもこの色味で染めていない物は比較的レアな類。
パープルで虹色のある宝石を使っていて手頃に楽しめるライトジュエリーは、多分そんなに多く無いはずですよね。
ならば、いくつか作って見ます!(通常イメージする淡水パールより、ドリルの当たりが硬い気がして、ちょっと手こずってますが。。)
続きは別の記事で。